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スイートピー

スイートピー

Lathyrus odoratus

スイートピー(Lathyrus odoratus)は、マメ科に属する一年生のつる性開花植物であり、非常に香りが強く蝶のような形をした花と、観賞用および切り花として世界中で長く愛され続けていることで知られています。

一般的な名前に反して、スイートピーは食用のエンドウ(Pisum sativum)とは近縁関係にありません。専ら観賞用に栽培され、パステル調から複色まで多様な花色と、人を魅了する芳香が珍重されています。

• 地中海地域、特にシチリア島、イタリア南部、エーゲ海諸島が原産地
• 1699 年、シチリア出身の修道僧フランシスクス・クパニ神父によって英国の園芸界に導入された
• 400 年以上にわたる栽培の歴史の中で、1,000 以上の園芸品種が作出された
• 米国マサチューセッツ州の州花(非公式の文化的象徴)
• 属名のラティルス(Lathyrus)はマメ科植物を指す古代ギリシャ語「ラテュロス」に由来し、種小名のオドラトゥス(odoratus)はラテン語で「芳香のある」を意味する

スイートピーは地中海中央部の限られた地域、特にシチリア島、イタリア南部(カラブリア州)、およびエーゲ海の島々の丘陵地帯や低木地帯に固有です。

• 野生下ではシチリア島で初めて記録された
• フランシスコ会修道僧フランシスクス・クパニ神父が 1699 年、イングランドのロバート・ウヴェデール博士に種子を送り、これが栽培の歴史の始まりとなった
• 初期の野生種は小柄で、紫色と栗色の複色花を持ち、香りも控えめだった
• 18 世紀から 19 世紀にかけて、スコットランドやイングランドの園芸家(特にヘンリー・エックフォード)による選択育種により、花色の幅、花の大きさ、香りが劇的に向上した
• 19 世紀後半には、英国全土でスイートピーの栽培が競技的な趣味となり、専用の展示会や協会が設立された

スイートピーが慎ましやかな地中海の野生草花から、世界で最も愛される園芸用一年草の一つへと変貌を遂げた道のりは、園芸学における驚くべき変容の物語である。
• エックフォード単独で、1888 年から 1900 年の間に 100 以上の新品種を発表した
• 1900 年頃にサイラス・コールによって開発された「スペンサー種」は、現代のスイートピーを特徴づける波打つような花弁の形を導入した
ラティルス・オドラトゥスは細く、つる性で一年生の草本植物であり、支柱があれば通常 1〜2 メートルの高さに達する。

茎:
• 弱く、角ばっており翼があり、先端の巻きひげを使って絡みつく
• 茎は粉白色(わずかに蝋のような青緑色)で、ほとんど無毛
• 最大限の高さまで成長するには、トレリス、ネット、または他の支柱が必要

葉:
• 互生し、1〜2 対の小葉からなる羽状複葉
• 小葉は卵形から楕円形で長さ約 2〜6 cm、鮮やかな緑色
• 先端の小葉は分枝した巻きひげに変化し、つる登りに利用される
• 托葉は大きく葉状で、矢じり形(矢尻形)をしており長さ最大 4 cm に達する。これが食用のエンドウと区別する特徴である

花:
• マメ科に特徴的な蝶形花冠(蝶のような形)
• 長い花柄(約 5〜15 cm)の先に、2〜7 個の花がまばらな総状花序につく
• 個々の花の直径は約 2〜3.5 cm
• 花冠は広い旗弁(上部の花弁)、2 枚の翼弁、そして融合した竜骨弁から構成される
• 花色は白、ピンク、ラベンダー、サーモンピンクから深紅、紫、そして複色まで多岐にわたる
• 非常に芳香が強く、蜂蜜に似た甘い香りを持つ
• 温帯地域では晩春から夏にかけて開花する

果実と種子:
• 果実はマメ科特有の莢(さや)で、長楕円形、長さ約 4〜7 cm、わずかに毛が生えている
• 1 つの莢に 4〜8 個の種子を含む
• 種子は丸く直径約 5〜8 mm、灰褐色から斑模様
• 莢は成熟すると裂開( dehiscence)して種子を散布する
原産地である地中海の自生地では、スイートピーは低地から中高度の開けた低木地、岩の多い斜面、林縁部、攪乱された土地に生育しています。

• 冬は温和で雨が多く、夏は温暖で乾燥する地中海性気候を好む
• 水はけが良く、中性から弱アルカリ性の土壌を好む
• マメ科植物として、根粒菌(リゾビウム属)と共生して大気中の窒素を固定し、土壌中の窒素分を豊かにする
• 花は主にミツバチ(特にマルハナバチ)によって受粉され、その香りと蜜に誘引される
• 種子は莢の機械的な裂開によって散布される

栽培下では、スイートピーは冷涼な季節に生育する一年草として扱われる。
• 発芽には土壌温度が 10〜15℃の環境が最適
• 気温が 25℃を超えると成長が著しく鈍化する
• 冬が温暖な地域では、早春に開花させるために秋に播種される
• 寒冷地では、晩冬に室内で育苗し、最終霜の後に植え付けられる
スイートピーの種子およびその他の部位には毒性アミノ酸が含まれており、決して口にしてはいけません。

• 種子には神経毒性アミノ酸であるβ-N-オキサリル-L-α,β-ジアミノプロピオン酸(β-ODAP)が含まれている
• 多量に摂取すると、下肢の麻痺を特徴とする神経疾患「ラチリスム」を引き起こす可能性がある
• この症状は、他のラティルス属(例:Lathyrus sativus、グラスピー)を飢饉食として摂取した人間や家畜においてよく記録されている
• ラティルス・オドラトゥスは食用作物ではないが、特に子供による種子の誤飲は避けるべきである
• 接触毒性は一般的にないとされるが、感受性の高い個人では軽度の皮膚炎を起こす可能性がある
スイートピーは庭で最もやりがいのある冷涼季の一年草の一つですが、生育には特定の条件が必要です。

日光:
• 日向(1 日あたり最低 6 時間の直射日光)
• 高温地域では、午後に日陰ができる場所だと開花期を延ばせる

土壌:
• 有機質に富み、深く、肥沃で水はけの良い土壌
• 理想的な pH:6.5〜7.5(中性から弱アルカリ性)
• 植え付け前に堆肥または完熟した堆肥をすき込む
• 酸性土壌には、少量の苦土石灰を加えると効果的

水やり:
• 根付くまで、また開花中は、土壌を常に湿った状態に保つ
• 葉が濡れるのを避け、病気のリスクを減らすため、株元に水を与える
• 根元の周囲をマルチングして水分を保ち、根を涼しく保つ

温度:
• 最適な生育温度帯:10〜20℃
• 種子の発芽には 10〜15℃が最適
• 25℃を超える高温が続くと、植物は衰え開花しなくなる
• 温暖な気候では、冬から春にかけての一年草として扱う

播種:
• 発芽を早めるため、播種前に 24 時間水に浸す
• 浸漬が現実的でない場合は、種子の皮をヤスリで傷つける(傷つけ処理)
• 深さ 1〜2 cm、株間 5〜8 cm で播種する
• 寒冷地では、最終霜の 6〜8 週間前に室内で育苗を始める

支柱:
• 植え付け時に、トレリス、ネット、竹ざお、または紐を用意する
• つるは 1.5〜2 メートルに達するため、しっかりした支柱が必要

花がら摘み:
• 開花を長期間楽しむため、咲き終わった花をこまめに摘み取る
• 莢ができると、植物は種子生産にエネルギーを回すため、開花しなくなる

繁殖:
• 種子繁殖が主たる方法
• 種子は冷涼で乾燥した条件下で保管すれば、2〜3 年間は発芽力を保つ

主なトラブル:
• うどんこ病:夏場に発生しやすい。風通しを良くし、上からの水やりを避ける
• アブラムシ:水をかけるか、殺虫石鹸液を噴霧する
• ナメクジとカタツムリ:幼苗が特に狙われやすい
• ボトライチス(灰色かび病):被害のある葉を取り除き、植物周囲の湿度を下げる
• 開花しない:主に高温、日照不足、または莢を形成させたことが原因
スイートピーはほぼ専ら観賞用および芳香目的で栽培されています。

観賞用:
• 世界中で最も人気のある切り花の一つ。その香り、繊細な姿、豊富な花色が珍重されている
• コテージガーデン、花壇、そしてフェンス、アーチ、オベリスクなどのつる仕立てとして広く利用される
• 特に英国では、品評会の主力品種である
• 結婚式の花束やフラワーアレンジメントに頻繁に使用される

香料産業:
• スイートピーの香りは香水製造において非常に価値が高い
• 天然からの抽出は困難なため、市販されている「スイートピー」の香りの多くは合成による再現品である
• 精油の研究により、リナロール、ゲラニオール、フェニルアセトアルデヒドなどの主要な芳香成分が特定されている

土壌改良:
• マメ科植物として、根粒菌との共生により大気中の窒素を固定する
• 緑肥や被覆作物として利用され、土壌の肥沃度を高めることができる

文化的意義:
• ビクトリア朝の花言葉では、スイートピーは「至福の喜び」「繊細な喜び」「別れ」を象徴する
• 花暦では 4 月をスイートピーに当てはめることがある
• 英国では今もスイートピーの展示会や競技会が人気があり、シェロップシャー州ウェムのスイートピー協会が毎年イベントを開催している

豆知識

スイートピーは遺伝学の初期の歴史において重要な役割を果たしました。 • 1860 年代、グレゴール・メンデルの同時代人であるウィリアム・ベイトソンは、1900 年にメンデルの論文を読んで以来、メンデルの遺伝の法則を支持した最初の科学者の一人となった • ベイトソンはスイートピー(他の植物と併せて)を用いて、メンデル遺伝学を検証・拡張するための初期の実験を行った • 彼自身も 1905 年に「遺伝学(genetics)」という用語を造語し、これを一つの科学分野として確立する上で中心的な役割を果たした スイートピーの香りは植物界で最も複雑なものの一つです。 • スイートピーの香りからは 100 種類以上の揮発性有機化合物が特定されている • 香りのプロファイルは一日の間に変わり、しばしば夕方に強まる • 全て現代の園芸品種が芳香を持つわけではなく、大輪化や新奇な花色の作出を目的とした選択育種の結果、香りが失われることもある スイートピーの生物学における注目すべき特徴として: • 波打つような花弁の形(「スペンサー種」)は、花弁細胞の成長に影響を与える単一の遺伝子変異によって引き起こされる • この変異は 1900 年頃に初めて特定され、それまで平らな花弁だったスイートピーを、今日私たちが知るようなフリルの入ったロマンチックな姿へと変貌させた 現在も栽培されている最古のスイートピーの園芸品種は「クパニ(クパニ・オリジナルとも呼ばれる)」であり、これは 300 年以上も前の植物の起源を今に伝える生きた証として、野生のシチリア産の姿に酷似した小ぶりな紫と栗色の複色花を咲かせます。

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