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ピーチパーム

ピーチパーム

Bactris gasipaes

ピーチパーム(Bactris gasipaes)は、中央アメリカおよび南アメリカの熱帯林原産の多幹性のヤシであり、主に栄養価が高くデンプン質に富む果実と、耐久性のある木材を得るために先コロンブス時代から栽培されてきました。一般的な名前とは裏腹に、一般的なモモとは近縁関係になく、この名前は果実がしばしば桃に似た赤みを帯びた橙色を呈し、調理すると粉っぽい食感になることに由来します。果実は核果であり、抗栄養成分を除去するために消費前に数時間煮沸する必要があり、多くの先住民共同体や農村地域において主要な炭水化物源となっています。
• 1 本の木で年に複数回の収穫が可能です
• この植物は、茎の中心部から採れる「ハーツ・オブ・パーム(ヤシの芯)」も貴重とされています。

分類

Plantae
Tracheophyta
Liliopsida
Arecales
Arecaceae
Bactris
Species Bactris gasipaes
ピーチパームは新熱帯区の水湿に富む低地が原産地であり、その野生種(Bactris gasipaes var. chichagui)はホンジュラスから南へボリビアを経てアマゾン盆地にかけて分布しています。栽培化はアマゾン南西部で起こったと考えられており、数千年前にさかのぼる栽培の考古学的証拠が残されています。
• この果実は多くの先コロンブス文化において食生活の要であり、より大きな果実サイズや高いデンプン含有量を持つ品種が選択されました
• 先住民の交易ネットワークを通じて広く分布し、その結果、地域全体に数百もの固有の地方品種(ランドレース)が生じました。
ピーチパームは株立ち状、あるいは時に単幹となるヤシで、通常は高さ 12〜20 メートルに達します。茎には鋭く黒い棘が輪状に密生していますが、品種改良により無棘品種も作出されています。
• 茎:直径 15〜25 cm で、硬い外輪と繊維質の内芯から成ります。棘の長さは 2〜10 cm になることがあります。
• 葉:羽状複葉で長さ 2.5〜3.5 メートル、多数の線形で濃緑色の小葉から成ります。葉柄や葉鞘にも棘があります。
• 花序:葉の間から出て、仏炎苞と多数の小さくクリーム色がかった黄色の雌雄同株の花からなる円錐花序を形成します。
• 果実:核果で、直径は通常 4〜6 cm、卵形〜球形をしており、薄く蝋質の果皮は緑色から黄色、橙色、あるいは赤色へと熟します。果肉は粉っぽく、乾燥しておりデンプン質で、1 個の大きく黒い円錐形の種子を包んでいます。
ピーチパームは、降雨が均等に分布する高温多湿な熱帯低地でよく生育します。アマゾンに一般的に見られるような酸性で養分の少ないオキシソルを含む、水はけの良い多様な土壌に適応しています。
• 降雨量:年間 2,000〜4,000 mm が最適ですが、短い乾季には耐えることができます。
• 気温:年間平均気温 24〜28°C が理想的で、15°C を下回ると成長が止まります。
• 日照:成木は日向を好みますが、若木は半日陰の恩恵を受けます。
• 菌根共生:アーバスキュラー菌根菌と共生関係を結び、貧栄養土壌におけるリンの吸収を著しく向上させます。
調理済みの果実はエネルギー密度が高く、複合炭水化物を豊富に含み、ビタミン A の重要な供給源となります。栄養成分は地方品種によって大きく異なる場合があります。
• 炭水化物:主にデンプンであり、生重量の 25〜60% を占めます。これは消化が緩やかで、持続的なエネルギー源となります。
• ビタミン A:カロテノイド前駆体、特にβ-カロテンを黄色や赤色の果肉を持つ品種に豊富に含み、しばしばニンジンに含まれる濃度を超えます。
• タンパク質:乾燥重量の 2〜6% のタンパク質を含み、アミノ酸組成はバランスが取れていますが、トリプトファンが不足しています。
• 脂質:油分を含む中果皮は 10〜30% の脂肪を含み、その主成分はオリーブオイルと同様の不飽和脂肪酸であるオレイン酸です。
生の果実や加熱していない果肉には、シュウ酸カルシウムの結晶やトリプシン阻害物質が含まれており、口や喉に強烈な刺激や灼熱感を引き起こします。これらの抗栄養成分は、長時間の煮沸(通常 1〜3 時間)または焙煎によって完全に変性し、無害化されます。
ピーチパームは、商業的には種子、あるいは幹の基部から出るひこばね(吸芽)によって増殖されます。収穫を容易にするため、果実やハーツ・オブ・パームのプランテーションでは無棘品種が好まれます。
• 土壌:pH 5.5〜7.0 の深く水はけの良い壌土が理想的です。
• 植栽距離:果実生産の場合は 5〜7 メートル間隔とします。ハーツ・オブ・パーム用には、より高密度な 2〜3 メートル間隔が用いられます。
• 灌水:特に植え付け時や開花期には、一貫した水分が必要です。
• 剪定:株あたりの茎の数を管理するためにひこばねの間引きを行い、通常 2〜4 本を生産茎として残します。
• 収穫:果房は最大 15 kg にもなり、果実に最初の色づきが見られた頃に花序軸を切断して収穫します。植栽後 3〜5 年で結実を始め、数十年にわたって生産を続けます。

豆知識

ピーチパームの果実には独特の調理上の要件があり、それがアマゾンの多くの都市でこの果物を紛れもないストリートフードにしています。それは、塩水で煮込んだ状態で大きな鍋ごと販売されているのが常だということです。口の中を焼くシュウ酸カルシウムの結晶を不活性にするには長時間の加熱処理が不可欠なため、生のまま食べることはできません。さらに、このデンプン質の果実を実らせる木は、高級野菜であるハーツ・オブ・パーム(ヤシの芯)の主要な栽培源でもあります。ハーツ・オブ・パームを収穫するとその茎は枯れてしまいますが、この木が持つ多幹性の成長特性により、木全体は生き延びて新しい芽を出し続けることができます。このため、ジュサラヤシやココヤシのような単幹性のヤシに比べて、より持続可能な供給源となっています。

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