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メイポップ

メイポップ

Passiflora incarnata

メイポップ(Passiflora incarnata)は、米国南東部原産の成長が速い多年生のつる植物で、トケイソウ属の中で最も耐寒性に優れた種のひとつです。非常に精巧で印象的な花と、酸味と甘みのある食用の実で広く知られています。

• 一般的な名前には、メイポップ、パープル・パッションフラワー、ワイルドアプリコット、ワイルド・パッションバインがあります
• 「メイポップ」という名前は、果実が踏まれると「ポン」と音を立てて割れる性質と、5 月に姿を現すことに由来します
• テネシー州の公式の野生花です
• 多くの熱帯性トケイソウ属とは異なり、P. incarnata は耐寒性があり、-20°C(-4°F)までの低温に耐えます
• ガルフ・フリチラリーやゼブラ・ロングウィングなど複数のチョウ種の食草として、生態系において重要な役割を果たしています

Passiflora incarnata は米国中部から南東部にかけて原産し、自然分布域はペンシルベニア州からフロリダ州、さらに西はカンザス州やテキサス州にまで及びます。

• トケイソウ属(Passiflora)は 550 種以上を含み、主に南北アメリカの熱帯・亜熱帯地域に分布しています
• P. incarnata は同属で最も耐寒性の高い種のひとつであり、ほとんどのトケイソウが生息できないような北方の温帯気候でも生育できます
• チェロキー族をはじめとする北米先住民は、何世紀にもわたりメイポップを食料や薬として利用してきました
• 欧州系入植者もこの植物を自らの薬用伝統に取り入れ、初期の米国薬草誌に記載されました
• 本来の分布域外である欧州や南米などの一部地域でも帰化しています
メイポップは旺盛な草本性の多年生つる植物で、1 生育季中に 6〜9 メートル(20〜30 フィート)に達することがあります。寒冷地では冬に地上部は枯れ、地下の根系のみで越冬します。

茎と葉:
• 茎は無毛〜まばらに毛があり、腋生の巻きひげで他物に絡みついて登ります
• 葉は互生し、掌状に 3 裂(まれに 5 裂)し、長さは 6〜15 cm、縁には鋸歯があります
• 葉の表面は濃緑色、裏面は淡色で、まばらに軟毛を生じることがあります

花:
• 単生し、葉腋から出る長さ最大 8 cm の花柄につき、花径は約 5〜9 cm です
• がく 5 枚、花弁 5 枚とも白〜淡いラベンダー色で、計 10 枚の花被片のように見えます
• 白と紫の帯状に配列した微細な糸状の副冠(コロナ)が際立っており、最も視覚的に特徴的な部分です
• 複雑な生殖構造を持ち、雄しべ 5 本と、3 本の花柱をもつ上位子房をもちます
• 開花期は緯度によりますが 5 月〜9 月です

果実:
• 卵形〜長楕円形の液果で、長さ 4〜6 cm。緑色から黄橙色へ熟します
• 多数の小さな黒色種子がゼリー状で芳香のある果肉に包まれています
• 食用となるのは果肉の部分で、アプリコットやグアバを思わせる酸味のあるトロピカルな風味です
• 各種子は多汁な膜状の袋(種衣)に包まれています

根系:
• 広範で深く張る根茎性の根系をもります
• 地下茎(ランナー)によって攻撃的に広がり、密な群落を形成します
• 主根は 60 cm 以上深くまで伸び、耐乾性に寄与します
メイポップは開けた日当たりの良い環境を好み、道端、フェンス沿い、河岸、畑地、林縁などでよく見られます。

日照:
• 日向〜半日陰を好みます
• 開花は日向(1 日 6 時間以上の直射日光)で最も盛んになります

土壌:
• 砂質土、壌土、粘土質など多様な土壌に適応します
• 水はけの良い土壌を好みますが、一時的な冠水にも耐えます
• 適正 pH は 5.5〜7.5 です

送粉:
• クマバチやマルハナバチなど大型のハチ類によって主に送粉されます
• 複雑な花の構造は、おしべとめしべの両方に接触できる大型昆虫による他家受粉に適応しています
• 多くの個体群では自家不和合性を示し、結実には他家受粉が必要です

野生生物との相互作用:
• ガルフ・フリチラリー(Agraulis vanillae)、ゼブラ・ロングウィング(Heliconius charithonia)、ジュリア(Dryas iulia)、バリエゲイテッド・フリチラリー(Euptoieta claudia)などの幼虫の食草となります
• 果実は鳥類や小型哺乳類に食べられ、種子散布に寄与します
• 花はハチ、チョウ、ハチドリなど多様な送粉者を引き寄せます

耐寒性:
• USDA 耐寒区分 5〜9 区に対応
• 5〜6 区では冬に地上部が枯れ、春に根株から再生します
Passiflora incarnata は絶滅の恐れがあるとは見なされておらず、本来の分布域全体で広く普通に見られます。

• 広範な分布と適応力の高さから、軽度懸念(Least Concern)に分類されています
• 本来の分布域外の一部地域では、根茎による攻撃的な拡大习性のため、侵略的外来種とみなされることがあります
• 複数のチョウ種にとって重要な食草であるため、送粉者保全の観点から生態学的に価値が高い植物です
Passiflora incarnata の果実は食用可能で、先住民や入植者によって何世紀にもわたり消費されてきました。

• 種子を包む果肉が主な食用部分です
• ビタミン C(アスコルビン酸)が豊富です
• 種子ごと摂取すると特に食物繊維を多く含みます
• 少量のビタミン A、鉄、カリウムを含みます
• ベータカロテンを含むポリフェノールやカロテノイドを含みます
• 果汁、ジャム、ゼリー、デザートの風味付けなどに一般的に利用されます
• 栄養成分に関するデータは商業種のトケイソウ(P. edulis)ほど詳細には文書化されていませんが、概して抗酸化物質やビタミンの良好な供給源とされています
• 果肉と種子は一般に人間の摂取に対して安全とされています
• 葉、茎、未熟果にはシアン配糖体(代謝時にシアン化水素を放出する化合物)がより高濃度で含まれています
• 葉や未熟果を多量に摂取すると、吐き気や胃腸の不快感を引き起こす可能性があります
• 主に地上部に微量のアルカロイド(ハルマンおよび関連化合物など)を含みます
• トケイソウ科植物にアレルギーのある人は注意が必要です
• 他の野生植物と同様、摂取前には正確な同定が不可欠です
メイポップは栽培が比較的容易で、観賞用のつる植物として、また食用果樹として重宝されています。

日照:
• 日向〜半日陰。開花・結実を最大化するには 1 日 6 時間以上の直射日光が必要です

土壌:
• 水はけが良ければほとんどの土壌に適応します
• やせた土壌、砂質土、粘土質土にも耐えます
• 常に過湿となる状態は避けてください

水やり:
• 活着後は中程度の水やりで十分です
• 深い根系により耐乾性をもちますが、開花・結実期に水分が安定していると収量が向上します

温度:
• USDA 耐寒区分 5〜9 区に耐寒します
• 寒冷地では冬季の休眠期間が必要です

増殖:
• 播種:24 時間程度の温水への浸漬や種皮処理(スカリフィケーション)により発芽が向上します。発芽には数週間〜数か月を要し、不均一になることがあります
• 根挿し:最も確実な方法です。春に根茎を切り分けて植えると容易に新株が得られます
• 挿し木:夏季の軟木挿しは発根剤処理で発根します

剪定:
• 新芽が伸び始める前の晩冬〜早春に剪定します
• 枯れ枝を除去します。花は新枝につくため、年 1 回の剪定が開花を促進します
• 不要な根吹きを除去して広がりを抑制します

主な問題点:
• 根茎による攻撃的な拡大で園内で侵略的になることがあるため、根止め仕切りの設置を検討してください
• カナブン類(日本ではコガネムシ類など)が葉を食害することがあります
• 砂質土ではセンチュウが問題になることがあります
• 多湿条件下では葉の斑点病(糸状菌性)が発生することがあります
メイポップは食用、薬用、観賞園芸において長い利用の歴史をもちます。

食用:
• 果実は生食、または搾汁して飲料、スムージー、カクテルなどに利用されます
• 果肉はジャム、ゼリー、シロップ、フルーツプレザーブの原料になります
• アイスクリーム、ソルベ、デザートの風味付けに用いられます
• 一部の伝統料理では葉をほうれん草のように加熱調理して緑黄色野菜として利用することもあります

薬用:
• 特にチェロキー族など先住民の間で伝統薬草として広く用いられてきました
• 葉や地上部はハーブティーやチンキに利用され、鎮静・神経強壮作用があると伝統的に評価されています
• 欧州医薬品庁(EMA)は、Passiflora incarnata を軽度の神経緊張緩和および睡眠サポートのための伝統的ハーブ医薬品として承認しています
• クリシン、アピゲニン、ルテオリンなどのフラボノイドやアルカロイドを含み、これらは現在も薬理学的研究の対象となっています

観賞:
• トレリス、アーバー、フェンスなどに仕立てるつる植物として栽培されます
• 壮麗でエキゾチックな花が評価されています
• チョウや送粉者を引き寄せるため、野生生物園で人気があります

その他:
• 一部の伝統では、乾燥した葉や茎を喫煙用ブレンドや線香に用いることがあります

豆知識

トケイソウの精巧な構造は 16 世紀のスペイン人宣教師たちを魅了し、その形態にキリストの受難(パッション)の象徴を見出しました。 • 5 本の雄しべはキリストの五聖痕を表します • 3 本の花柱は 3 本の釘を象徴します • 副冠の糸状部はいばらの冠と解釈されました • 5 枚の花弁と 5 枚のがくを合わせて、忠実な 10 人の使徒(ペトロとユダを除く)を表します • つるは鞭打ちに使われた鞭と見なされました この宗教的象徴性により、属全体が「Passiflora(パッシフローラ)」という学名を与えられました。これはラテン語の「passio(受難)」と「flos(花)」に由来します。 「メイポップ」という名には、心地よい二重の由来があります。 • 果実は足で踏みつぶすと文字通り「ポン(pop)」と音を立て、中身が飛び出します • また、この植物は春ごとに地面から「ポンと飛び出す(pop up)」ように、5 月になると休眠していた根株から新芽を出します メイポップは凍結する冬を生き延びられる数少ないトケイソウの一種です。熱帯の近縁種が初霜で枯れるのに対し、P. incarnata は地下に退避し、春になると勢いよく姿を現します。時には 1 シーズンに 3 メートル以上も広がることがあります。 1 本のメイポップのつるは夏の間に数十の花を咲かせますが、個々の花の寿命は約 1 日。朝に咲き、夕方にはしぼみます。

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