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イェルバ・マテ

イェルバ・マテ

Ilex paraguariensis

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イェルバ・マテ(Ilex paraguariensis)は南アメリカ原産のモチノキ科の一種で、伝統的なカフェイン含有飲料マテの原料として最もよく知られています。モチノキ科に属する常緑高木または低木であり、世界的に商業的に重要ないくつかのカフェイン生成植物の一つです。

• 「イェルバ・マテ」という名前は、スペイン語の「hierba(草)」とケチュア語の「mati(ひょうたん)」に由来し、この飲料を供する伝統的な器を指しています
• アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの国営飲料であり、南アメリカ南部全域において深い文化的意義を持っています
• この植物はヨーロッパによる植民地化よりも遥か以前から、先住民グアラニー族によって何世紀にもわたり消費されてきました
• イェルバ・マテはブラジル、アルゼンチン、パラグアイの一部地域において、最も経済的に重要な農作物の一つです

Taxonomy

Kingdom Plantae
Phylum Tracheophyta
Class Magnoliopsida
Order Aquifoliales
Family Aquifoliaceae
Genus Ilex
Species Ilex paraguariensis
Ilex paraguariensis は南アメリカの亜熱帯地域、具体的には以下の地域が原産です。

• パラグアイ
• ブラジル南部(パラナ州、サンタカタリーナ州、リオグランデ・ド・スル州、マトグロッソ・ド・スル州)
• アルゼンチン北東部(ミシオネス州、コリエンテス州)
• ウルグアイ

この植物は、水はけの良い土壌において、混合したアラウカリア林(ブラジルマツ)や河岸に自生します。起源の中心地であり、遺伝的多様性が最も高いのはパラナ川流域地域であると考えられています。

• パラグアイおよびその周辺地域に住むグアラニー族が、イェルバ・マテの知られうる限り最初の栽培者かつ消費者であり、これを「カア(草)」と呼んでいました
• 17 世紀のイエズス会宣教師們はその商業的価値を認め、組織的な農園(「レドゥクシオン」)を設立し、初期の栽培技術を開発しました
• 1767 年のイエズス会追放後、19 世紀後半から 20 世紀初頭にかけて商業農園が再興されるまで、野生での採取(「イェルバ・モンテス」)が主要な供給源となりました
• 現在、ブラジルが世界最大のイェルバ・マテ生産国であり、以下アルゼンチン、パラグアイの順となっています
Ilex paraguariensis は常緑高木または大型の低木であり、以下の特徴を持ちます。

大きさおよび樹形:
• 栽培下では通常 6〜10 m まで成長し、野生下では最大 15〜18 m に達することがあります
• 成熟した野生個体の幹径は 30〜50 cm に達します
• 樹冠は密で、丸形から円錐形をしています

葉:
• 単葉、互生、長楕円形から長楕円状楕円形
• 長さ 7〜11 cm、幅 3〜5 cm
• 葉縁には鋸歯(ギザギザ)があり、特に葉の上半分に顕著
• 革質で、表面は濃緑色で光沢があり、裏面はやや淡色
• 葉柄は短く、約 5〜10 mm
• 葉が商業的に収穫される部位です

花:
• 小型で、白色〜緑白色、直径約 4〜5 mm
• 雌雄異株。個体は雄株または雌株のいずれか
• 腋生花序または集散花序に配列
• 開花期:9 月〜12 月(南半球の春)

果実:
• 小型の核果、直径 4〜6 mm
• 成熟すると赤紫色〜ほぼ黒色
• 4〜8 個の種子(核)を含む
• 結実期:3 月〜6 月(南半球の秋)

樹皮:
• 若いうちは滑らかで灰白色、加齢とともにやや粗くなる
イェルバ・マテは特定の亜熱帯生態条件下で繁茂します。

気候:
• 湿潤亜熱帯気候(ケッペンの気候区分 Cfa)を好む
• 至適な年平均気温:17〜26℃
• 短時間の霜(約−3℃まで)には耐えるが、長期間の凍結は損害を与える
• 年間降水量 1,500〜2,000 mm が必要で、年間を通じて均等に分布していることが望ましい

土壌:
• 水はけが良く、酸性の土壌(pH 5.5〜6.5)を好む
• 自然下では、鉄やアルミニウムの酸化物に富んだラトソルや赤色ラテライト土壌に生育
• 冠水や圧密された土壌には耐性がない

日照:
• 自然生息地では林床樹として生育し、半日陰に耐える
• 若木は日陰を好むが、成木はより多くの光に耐え、より良く結実する
• 商業栽培では、最適な葉の生産のために日陰管理が重要

生態系における役割:
• 種子を散布する様々な鳥類の餌を提供
• アラウカリア・アングスティフォリア(ブラジルマツ)や他の亜熱帯林樹種と共生して生育
• 林床の生物多様性維持に寄与
Ilex paraguariensis は現時点で世界的に絶滅の恐れがあるとは分類されていませんが、その自生地は重大な圧力にさらされています。

• イェルバ・マテが自然に生育する大西洋岸森林(マタ・アトランティカ)バイオームは、森林伐採により元の面積の約 12〜15% にまで減少しています
• 農業、畜産、都市拡大による生息地の喪失により、野生個体群は減少しています
• 最近の記録時点では IUCN レッドリストにおける Ilex paraguariensis の状態は正式に評価されていませんが、生息地の劣化が懸念されています
• 保全活動は、残存する大西洋岸森林断片の保護と、イェルバ・マテ栽培と原生林保全を統合した持続可能なアグロフォレストリーシステムの推進に焦点を当てています
• ブラジル、アルゼンチン、パラグアイには遺伝的多様性を保全するための種子銀行および遺伝資源コレクションが存在します
イェルバ・マテの葉およびそれから調製された飲料には、複雑な生体活性化合物が含まれています。

主要な生体活性化合物:
• カフェイン:乾燥葉重量の 0.7〜1.5%(通称「マテイン」と呼ばれることもありますが、化学的にはカフェインと同一です)
• テオブロミン:乾燥葉重量の 0.3〜0.5%(ココアにも含まれる)
• ポリフェノール:クロロゲン酸、ケルセチン、ケンフェロール、ルチンなどを含む強力な抗酸化物質
• サポニン:特にマテサポニン。特徴的な泡立ちと苦味に寄与
• ビタミン:B1(チアミン)、B2(リボフラビン)、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、C、E
• ミネラル:カリウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、鉄

抽出済みマテの栄養成分(100 ml あたりの概算値):
• カロリー:約 1〜3 kcal
• カフェイン:約 30〜50 mg(薄いコーヒーに相当)
• テオブロミン:約 5〜15 mg
• 顕著な抗酸化能:研究により、マテ茶の抗酸化活性は緑茶と同等かそれ以上であることが示されています

• カフェインとテオブロミンの組み合わせは、コーヒーと比較してより滑らかで持続的な興奮作用をもたらすと考えられており、神経過敏も少ないとされていますが、これは主に逸話的であり、臨床研究で決定的に証明されているわけではありません
イェルバ・マテは、適量を摂取する限り、ほとんどの成人にとって安全であると考えられていますが、いくつかの健康上の懸念点があります。

• 食道がんのリスク:特に南アメリカにおける疫学研究により、非常に高温(65℃ / 150℉以上)のマテの摂取が食道がんのリスク増加と関連付けられています。国際がん研究機関(IARC)は、「非常に高温の飲料」(65℃以上)を「人に対しておそらく発がん性がある」(グループ 2A)に分類しています。このリスクは、植物の化学組成そのものよりも、熱による損傷に関連しているようです。

• PAH による汚染:伝統的に燻煙乾燥されたイェルバ・マテ製品の一部には、ベンゾ[a]ピレンなどの多環芳香族炭化水素(PAH)が含まれており、これらは既知の発がん物質です。ブラジルやアルゼンチンの一部の製造法で用いられる燻煙工程により、これらの化合物が葉に付着します。非燻煙(「バルバクア」または天日乾燥)の品種では、PAH レベルが著しく低くなります。

• カフェインに関連する影響:他のカフェイン含有飲料と同様に、過剰摂取により不眠、不安、心拍数の増加、消化器系の不調、その他のカフェイン関連症状を引き起こす可能性があります。

• 妊娠:保健当局は一般的に妊娠中のカフェイン摂取制限を推奨しており、イェルバ・マテは注意して摂取するか、避けるべきです。

• 薬物相互作用:イェルバ・マテに含まれるカフェインやその他の化合物は、興奮剤、血液凝固防止薬、MAO 阻害薬などの特定の医薬品と相互作用する可能性があります。
イェルバ・マテは亜熱帯地域で商業栽培されており、適切な気候であれば観賞用または鉢植えとしても育てることができます。

気候要件:
• USDA 耐寒性区分:9b〜11 区(最低耐気温は約−3℃〜−1℃)
• 湿潤亜熱帯気候が必要。灌漑なしでは乾燥地帯や地中海性気候には適さない
• 長期間の干ばつや 35℃を超える極端な高温に弱い

日照:
• 半日陰〜日向。若木は 30〜50% の遮光を必要とする
• 商業農園では、最適な日照条件を作るために(しばしば在来種の)高木を利用する
• 室内栽培では、明るく直射日光の当たらない場所が必要

土壌:
• 水はけが良く、酸性の土壌(pH 5.5〜6.5)
• 有機物に富んでいること
• 鉢植えの場合:ピートモス主体の培養土にパーライトと堆肥を混合したものを使用

水やり:
• 土壌を常に湿った状態に保つが、過湿にはしない
• 冬場はやや水やりを減らす
• 乾燥には弱い

温度:
• 至適生育温度:17〜26℃
• 短時間の軽い霜には耐えるが、長期間の寒冷は葉や新芽を傷める

繁殖:
• 主に種子による。種子は深い休眠性を持ち、処理をしないと発芽まで 1〜3 年を要することがある
• 傷つけ処理(スカリフィケーション)や低温処理(コールドストラティフィケーション)により発芽率が向上する
• 挿し木による栄養繁殖も可能だが、商業的にはあまり一般的ではない

収穫:
• 植栽後 3〜4 年経過し、1〜2 年ごとに葉を収穫するのが一般的
• 収穫は手作業または機械で行われ、葉のついた枝を切り取る
• 伝統的な加工法では、薪の火で急速に加熱(「サペカード」)した後、乾燥・熟成させる
イェルバ・マテには、伝統的および現代的な幅広い用途があります。

飲料 — 伝統的なマテ:
• 乾燥・粉砕した葉を熱湯(沸騰直前ではない)で蒸らし、「ボンビージャ」と呼ばれる金属製のストローを使って、ひょうたん製の器(「マテ」または「クイア」)から飲む
• アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル南部における深い社会的儀礼であり、器を回し飲みし、「セバドール」と呼ばれる人が各杯を注ぐ
• 「マテ・コシード」:ティーバッグやリーフで紅茶のように淹れ、カップで飲むスタイル
• 「テレレ」:パラグアイやブラジル一部で人気のある冷たいマテ。冷水またはフルーツジュースで淹れる

商業製品:
• 瓶詰め・缶詰の即席マテ飲料(アイスドマテティー)
• マテフレーバーのエナジードリンクや清涼飲料
• サプリメントやダイエット製品に使用されるマテ抽出物
• マテフレーバーのリキュールやカクテル

伝統医学:
• 民間療法において、強壮剤、消化促進剤、利尿剤として使用
• 先住民グアラニー族は、疲労回復、食欲抑制、および強壮剤として利用
• イェルバ・マテ由来のサポニンは、抗炎症作用や脂質低下作用について研究されている

産業およびその他の用途:
• 抗酸化作用を有することから、化粧品やスキンケア製品にイェルバ・マテ抽出物が使用される
• ポリフェノールの抗菌性を活かした食品保存への応用研究
• 使用済みのマテの葉は、キノコ栽培の培地やバイオ燃料としての利用が探られている

Fun Fact

イェルバ・マテは、魅力的な歴史と文化的意義に満ちています。 • グアラニーの伝説によれば、疲れ果てた老シャーマンの元に女神が現れ、彼の力と活力を回復させるために「カア」の植物を与えたと言われています。これにより、イェルバ・マテは南米先住民の神話において神話的起源を持つ数少ない植物の一つとなっています。 • 17 世紀、イェルバ・マテは南アメリカにおいて非常に高価であり、通貨として使用されていました。植民地時代の交易網においては、金や銀以上の価値があったとさえ言われています。 • イェルバ・マテを組織的な農園で初めて栽培に成功したのがイエズス会であり、彼らの「イエズス会のマテ」はその優れた品質で有名になりました。1767 年の追放後、その栽培の秘訣はほぼ失われ、商業的生産が回復するまで 100 年以上を要しました。 • アルゼンチンは世界最大のイェルバ・マテ消費国であり、1 人あたりの年間消費量は約 5〜6 kg に達します。これは同国におけるコーヒー消費量を遥かに上回っています。 • ボンビージャ(飲用ストロー)は巧妙な工夫を凝らした道具です。穴あきまたはフィルター状になった先端がこし器の役割を果たし、細かい葉の粒子を遮断しながら液体のみを通します。伝統的なボンビージャは銀製で造られ、アンティークの一品は現在では貴重な収集品となっています。 • 一部の民族植物学的記録によれば、イェルバ・マテには生命を維持するために必要なほぼすべての栄養素が含まれているとされています。「神々の飲み物」とも呼ばれ、歴史的には探検家やガウチョたちが南米のパンパスを長距離移動する際の主要な栄養源として依存していました。

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