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サバル・パルメット

サバル・パルメット

Sabal palmetto

サバル・パルメット(Sabal palmetto)は、一般的にキャベージパームとして知られ、フロリダ州とサウスカロライナ州の州木であり、アメリカ合衆国南東部の海岸景観を象徴する最も代表的な樹木の一つです。ごつごつとした藁葺きのような幹と、扇状の葉が泉のように広がる姿は、フロリダキーズからカロライナ地方に至る亜熱帯の海岸林の景観を形作っています。

• 属名の「Sabal」は語源不明ですが、ヤシを意味する先住民の言葉に由来する可能性があります
• 種小名の「palmetto」は、スペイン語の「palmito(小さなヤシ)」に由来します
• フロリダ州とサウスカロライナ州の州木です
• 「キャベージ」とは、樹冠にある柔らかく食用となる生長点(ハーツ・オブ・パーム)のことで、これを収穫すると木は枯死します
• 極めてハリケーンに強く、時速 200 キロを超える強風でも、柔軟な幹と葉が折れずにしなります
• 米国原生のヤシの中で、最も耐寒性が高い種の一つです

分類

Plantae
Tracheophyta
Liliopsida
Arecales
Arecaceae
Sabal
Species Sabal palmetto
サバル・パルメットは、アメリカ合衆国南東部とバハマ諸島が原産です。

• ノースカロライナ州南東部からサウスカロライナ州、ジョージア州を経てフロリダ半島全域に至る大西洋岸およびメキシコ湾岸の海岸平原に分布
• バハマ諸島およびキューバにも自生
• 標高 0 メートルから約 30 メートルの範囲に生育
• 海岸林、マリティム・ハモック(海岸の高木林)、パイン・フラットウッズ(松低湿地)、湿地の縁、および海岸林に自生
• 特にフロリダ州沿岸部、ならびにサウスカロライナ州およびジョージア州のシーアイランズに豊富
• 1788 年、フランツ・フォン・パウラ・シュランクによって科学的に初めて記載された
• 南東部の先住民(セミノール族、ミッコスキー族、ティムクア族など)には数千年にわたり知られており、食料、住居、繊維として広く利用されてきた
• このヤシはセミノール族の建築において重要な役割を果たし、伝統的な住居「チッキー」の屋根はサバルの葉で葺かれていた
• 16 世紀のスペイン人探検家たちもこのヤシを記録しており、先住民社会におけるその重要性に言及している
• 独立戦争中、サウスカロライナ州チャールストン港のモールトリー砦は、当初サバル・パルメットの丸太で建設された。そのスポンジ状の幹が砲弾を吸収し、アメリカ側の勝利に貢献した
サバル・パルメットは、特徴的な幹を持つ中〜大型の頑丈な扇状ヤシです。

サイズと樹形:
• 通常は高さ 10〜20 メートルに生育し、まれに 25 メートルに達する
• 幹の直径は 20〜40 センチメートルで、灰色から褐色、表面は粗い
• 若い幹は、葉鞘(ブーツ)が残り、格子状のパターンを形成して覆っている
• 古くなると葉鞘が剥がれ落ち、比較的滑らかな灰色の表面が現れる
• 樹冠には 15〜25 枚の生きた葉(fronds)からなる

葉:
• 中肋が短く湾曲した扇状(costapalmate)で、幅 1〜2 メートル
• 濃緑色で、多数の細い裂片に分かれ、先端でさらに裂ける
• 葉の裂片は滑らかで、ワシントンヤシ属に見られるような縮れた繊維糸を持たない
• 葉柄は滑らかで棘(トゲ)がなく、長さ 1〜2 メートル。これが近縁種との重要な識別点
• 古い葉は若い幹では茶色い「スカート」として残ることが多いが、やがて脱落する

花:
• 小型でクリーム色がかり、芳香があり、枝分かれして大きく弧を描く円錐花序に多数つく。花序は葉よりかなり外側へ伸びる
• 両性花で、晩春から夏にかけて大量に咲く

果実:
• 小型で球形、光沢のある黒い核果。直径 8〜12 ミリ
• 大きな下垂する房に多数つく
• 各果実には硬い茶色の種子が 1 個入っている
サバル・パルメットは、南東部の海岸生態系におけるキーストーン種です。

生育地:
• 海岸林、マリティム・ハモック、パイン・フラットウッズ、湿地の縁、湿潤草原
• 砂質土、石灰岩土、塩性土など、多様な土壌条件に耐える
• 中程度の耐塩性を持ち、塩風や高潮の影響を受ける地域でも生育可能
• 湿潤地から比較的乾燥した場所まで幅広く生育

生態系における役割:
• 果実はロビン、ヒレンジャク、野生の七面鳥など多くの鳥類の重要な食料源
• クロクマ、アライグマ、シカ、イノシシなどにも食べられる
• 花はミツバチを強く惹きつけ、特徴的で高品質な蜂蜜を生産する
• 枯れた葉鞘は、カエル、トカゲ、無脊椎動物の生息場所となる
• 古木の空洞化した幹は、コウモリのねぐらになる
• 葉は多くの鳥類の巣材として利用される
• モンクススキッパー(Asbolis capuculus)というチョウの食草となる
• 平坦な海岸景観において、重要な垂直構造を提供する
• 広葉樹を倒すようなハリケーンにも生き残り、被災した野生生物に暴風後の生息地を提供する
植栽:
• 種子繁殖。発芽まで 2〜6 ヶ月を要する
• 播種前に 3〜7 日間種子を水に浸すと、発芽率が向上する
• 新鮮な種子が最もよく発芽し、 жизн 性は 1〜2 年後に低下する
• 実生は成長が遅く、目に見える幹ができるまで通常 3〜5 年かかる
• 成木の移植も可能。サバル・パルメットは最も移植成功率の高いヤシ種の一つ
• 移植時には深い根鉢を確保し、生存率を高めるため全ての葉を除去する
• 最良の成長には日照を必要とするが、半日陰にも耐える
• 砂質土、石灰岩土、粘土、塩性土など、多様な土壌に適応する
• 米国農務省(USDA)の耐寒区分 8〜11 地域で耐寒性を示す
• 中程度の耐塩性があり、海岸の景観に適する
• 活着後は乾燥に強いが、定期的な水分があると成長が早い
• 比較的病害虫に強いが、ヤシハムシやオオヤシキクイムシの被害を受けることがある
• 葉鞘(クラウンシャフト)を持たないため、すっきりとした外観を保つには古い葉を手作業で剪定する必要がある
• 即効的な景観効果を得るため、幹の立った大型株として移植されることが多い
• 肥料の必要量は少なく、春にバランスの取れたヤシ用肥料を施せば十分
利用法:
• 芯材(「スワンプ・キャベージ」または「パームハーツ」と呼ばれる)は食用で珍味とされ、伝統的にフロリダの野生株から収穫されてきたが、これは木を枯らす行為である
• 現在、商業的なパームハーツの生産は、栽培されたピーチパーム(Bactris gasipaes)を用いて行われている
• 葉は屋根葺き材として利用され、セミノール族の伝統家屋「チッキー」は全てサバルの葉で葺かれている
• 葉は編まれて籠、帽子、扇子などに加工される
• アメリカ独立戦争中、柔らかくスポンジ状の幹がチャールストン港のモールトリー砦の建材として使われ、イギリス軍の砲弾を吸収した
• 幹材は水中での耐腐朽性が高く、桟橋の杭やフェンスの柱に利用される
• 葉の繊維は、ブラシ、ほうき、紐などの材料となる
• 果実は食用になるが人間には美味ではなく、主に動物の飼料として利用される
• サバルの花から採れる蜂蜜は商業的に価値が高い
• アメリカ南東部全域で観賞用の景観樹として広く植栽されている
• 街路樹、公園、商業施設などで広く利用される
• 南東部の海岸ライフスタイルを象徴する樹木であり、地域の芸術、文学、デザインに頻繁に登場する
• 葉鞘の繊維は、かつてスペインゴケと同様の詰め物材料として歴史的に利用された

豆知識

1776 年のサリバン島攻防戦において、アメリカ側防衛隊はサバル・パルメットの丸太で砦を建設しました。その丸太はスポンジのようにイギリス軍の砲弾を吸収し、このヤシはサウスカロライナ州旗に描かれるとともに、同州に「パルメット州」という愛称をもたらしました。また、このヤシの芯材(ハーツ・オブ・パーム)は開拓期のフロリダにおいて極めて重要な食料源であり、フロリダ州シーブリング市ではこれを祝うため毎年「スワンプ・キャベージ・フェスティバル」を開催しています。

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