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サンゴマメ

サンゴマメ

Erythrina poeppigiana

サンゴマメ(別名:ブカロ、ポロポロ)は、樹高 15〜25 メートルに達する大型の広葉性熱帯樹木です。乾季に落葉して丸裸になった際に、樹木全体を鮮やかなオレンジがかった赤色の花で覆い尽くす、見事な花姿で知られています。学名を Erythrina poeppigiana といい、窒素固定能力を持つパイオニア樹種として、熱帯アメリカ全域のコーヒーやカカオの農園で日陰樹として広く植栽されています。その印象的な観賞価値から、中央アメリカおよび南アメリカにおいて最も一般的に植栽される熱帯性の街路樹・公園樹の一つとなっています。

熱帯アメリカ原産で、パナマからコロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ペルー、そしてブラジルのアマゾン地域にかけて分布しています。自然状態では、海抜約 1,500 メートルまでの低地から前山岳帯にかけての熱帯湿潤林・多雨林、林縁部、および攪乱を受けた地域に生育します。日陰樹や観賞樹として熱帯全域に広く植栽され、本来の分布域外の多くの地域で帰化しています。エリスリナ属(Erythrina)は全世界の熱帯・亜熱帯に約 130 種が分布し、その多くが見事な花を咲かせることで評価されています。
大型で成長が早く、落葉性の樹木です。
• 樹高:15〜25 メートル、幹径 30〜60 センチメートル。しばしば広がりがあり不規則な樹冠を持ちます。
• 樹皮:灰色〜褐色で粗く、まばらに太い棘(とげ)があります(特に若枝に顕著)。
• 葉:3 出複葉(小葉が 3 枚)で互生します。各小葉は長さ 10〜20 センチメートル、幅 7〜15 センチメートルで、広卵形〜菱形をしており、鮮緑色です。葉柄や葉軸には小さな棘があります。
• 花:極めて壮観で、鮮やかなオレンジがかった赤色〜朱色。マメ科特有の蝶形花で長さ 5〜7 センチメートル。長さ 15〜30 センチメートルの密な直立する頂生する総状花序に多数咲きます。落葉して丸裸の時期に開花するため、視覚的なインパクトは絶大です。
• 果実:円柱形で狭い翼を持つ豆果(さや)。長さは 10〜20 センチメートルで種子の間でくびれ、裂開して鮮赤色〜橙色の種子を放出します。
• 種子:1 果あたり 5〜10 個。鮮赤色〜橙色のマメ型で、長さ 8〜12 ミリ。極めて有毒です。
• 根:窒素固定を行う根粒を持ち、深い直根性です。
• 幹:特に若木では、まばらに太い棘を帯びていることがよくあります。
パイオニア種かつ日陰樹として、重要な生態学的役割を果たします。
• 生育地:自然状態では林間の空隙、河川沿い、攪乱地に見られ、アグロフォレストリー(農林複合経営)システムに広く植栽されます。
• フェノロジー(生活史):落葉樹であり、乾季にすべての葉を落とします。葉のない枝に壮観な花を咲かせるのは、花粉媒介者への視認性を最大化するための戦略です。
• 送粉:鮮赤色で蜜を豊富に含む花には、止まり木をする鳥類(特にフウキンチョウ科、ハチドリ、ミツスイ科など)が訪れ、これらが主要な花粉媒介者となります。
• 種子散布:鮮赤色の種子は鳥によって散布されますが、種子のほとんどは有毒であるため、鳥が食べるのは仮種皮(きしゅひ)のみです。
• 窒素固定:根粒菌との共生により大気中の窒素を多量に固定し、アグロフォレストリーシステム内の土壌を肥沃にします。
• 成長:非常に速く、熱帯性マメ科樹木の中でも最も成長が早い種の一つで、わずか 2〜3 年で 5〜7 メートルに達します。
• 落葉:乾季の初めに大量の落葉があり、窒素に富んだ有機物を多量に土壌へ供給します。
• 剪定耐性:強剪定(台切り)にも強く、急速に再萌芽するため、管理された日陰システムに最適です。
IUCN(国際自然保護連合)により、広範な分布と個体数の多さから「低懸念(LC)」と評価されています。本種は人間の活動から利益を受けており、原生林よりも耕作地や攪乱を受けた景観でより一般的に見られます。熱帯全域で広く植栽されており、重大な保全上の脅威には直面していません。コーヒーやカカオの農園における日陰樹としての重要性が、個体群を維持するための経済的インセンティブとなっています。本来の分布域外(ハワイや東南アジアの一部など)の地域で帰化している箇所もありますが、攪乱された環境への依存度が高いため、一般的には侵略的外来種とはみなされていません。
繁殖が容易で、広く栽培されています。
• 種子:無処理でも 5〜10 日以内に容易に発芽します。新鮮な種子はほぼ 100% の発芽率を示します。
• 挿し木:大きな茎の挿し木(長さ 1〜2 メートル、直径 5〜10 センチメートル)から極めて容易に増殖でき、地面に植えるだけで直接発根します。これは生け垣の支柱を設置する際の一般的な手法です。
• 成長速度:非常に速く、好適な条件下では 1 年目に 3〜5 メートル成長します。
• 土壌:貧弱な土壌や劣化した土壌を含む多様な土壌タイプに耐性があり、自身の窒素固定能力の恩恵を受けます。
• 光:日照を必要とし、閉鎖した林冠下では定着しません。
• 剪定:台切り(強剪定)への反応が極めて良く、丸裸の幹状態まで切り戻されても力強く再萌芽します。
• 日陰管理:コーヒーやカカオの農園では、作物の開花のために日照を確保する乾季に剪定を行い、雨季には日陰を提供するために再成長を許容します。
• 生け垣:大きな挿し木を一列に植えることで容易に根付き、生け垣として成長します。
• 耐乾性:定着後は良好です。乾季の落葉により水分要求量が減少します。
多目的な農林複合経営用および観賞用樹木です。
• 日陰樹:最も重要な用途で、熱帯アメリカ全域のコーヒー・カカオ農園で管理された日陰樹として広く植栽されています。窒素固定による土壌肥沃度の向上と、季節的な落葉による光量調整機能が評価されています。
• 観賞用:壮観な赤い花により、熱帯全域で人気の街路樹・公園樹となっています。
• 生け垣の支柱:大きな挿し木を地面に植えると容易に根付き、数十年もつ即席の生け垣の支柱となります。
• 土壌改良:窒素固定と急速な落葉分解により、アグロフォレストリーシステム内の土壌を豊かにします。
• 伝統医学:樹皮や葉の調剤が、発熱、肝臓疾患、皮膚疾患の治療に用いられます。樹皮に含まれるアルカロイドには薬理活性があることが確認されています。
• 魚毒:砕いた種子や樹皮が、先住民コミュニティによって魚を麻痺させる毒(魚毒)として利用されてきました。
• 飼料:地域によっては若葉が牛にとって好適な飼料となりますが、成熟した葉には有毒なアルカロイドが含まれています。
• 工芸:軽質な木材は彫刻やコルクのような浮き輪の製造に利用されます。

豆知識

Erythrina poeppigiana(サンゴマメ)の種子には、エリスラリンやエリスリニンなど、マメ科において最も強力な天然アルカロイドのいくつかが含まれており、これらは強力なクラーレ様神経毒です。それにもかかわらず、本種は熱帯アメリカで最も広く植栽されている樹種の一つです。コーヒーやカカオのための日陰樹として非常に高く評価されており、農家は種子が毒として利用されうる樹木であることを承知の上で喜んで植栽しています。コスタリカでは、サンゴマメを日陰樹として植えているコーヒー農園では、空中から固定された窒素の効果により、日陰のない農園に比べて 1 ヘクタールあたり最大 30% もコーヒーの収量が増加します。

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