メインコンテンツへ
房咲きスイセン

房咲きスイセン

Narcissus tazetta

0 0

房咲きスイセン(Narcissus tazetta)は、ヒガンバナ科スイセン属に属する多年生の球根植物で、ポリアンサス・ナーシサスや中国では水仙としても知られています。晩冬から早春にかけて咲く、香りのよい白と黄色の花が房状に集まって咲く姿が愛され、最も広く栽培され、よく知られているスイセンの一種です。

• 1 本の花茎に、3〜20 個の小さく甘い香りのする花が特徴的な散形花序をつけます
• 栽培の歴史が数千年にわたる、最も古いスイセンの一種です
• 冬期の祝祭時に室内で促成栽培されることが多く、特に中国や日本では「水仙(スイセン)」として親しまれています
• 種小名の「tazetta」はイタリア語の「tazza(杯)」に由来し、花の中心にある杯状の副冠を指しています

分類

Plantae
Tracheophyta
Liliopsida
Asparagales
Amaryllidaceae
Narcissus
Species Narcissus tazetta
Narcissus tazetta は地中海地方を原産とし、西地中海(ポルトガル、モロッコ)から南ヨーロッパ、北アフリカ、中東を経て、中央・南アジア(カシミール地方、中国西部)にかけて分布しています。

• 原生地は地中海盆地、中東、ならびに中央・南アジアの一部にまたがっています
• 東アジア、オーストラリア、ニュージーランド、北アメリカなど、世界中の多くの地域で帰化しています
• 冬は温暖で湿潤、夏は高温で乾燥する、いわゆる地中海性気候の地域でよく生育します
• 栽培化された最も古いスイセン属の一種であり、古代エジプトや中国で促成栽培されていた記録が残っています
• 中国では 1,000 年以上にわたり栽培されており、特に正月飾りの鉢植えとして親しまれてきました
Narcissus tazetta は多年生の球根性草本で、草丈は通常 20〜50 cm です。

球根と根:
• 球根は皮膜に覆われ、卵形〜球形で直径 3〜5 cm、外皮は褐色をしています
• 収縮根を出し、年月をかけて球根を土中に深く引き込みます

葉:
• 根生し、線形で平らかやや舟形、長さ 20〜45 cm、幅 1〜2 cm です
• 色は灰緑色〜青緑色をしています
• 直立〜やや弓なりに立ち上がり、球根の基部から伸びます

花:
• 花序は中空の花茎の先端にできる散形花序で、3〜20 個の花をつけます
• 各花は 6 枚の白い花被片(外花被)と、短く杯状の黄色い副冠(長さ 3〜6 mm)からなります
• 花は強く芳香を放ち、甘く濃厚な香りがします
• 個々の花の直径は 2〜3 cm です
• 開花期は晩冬から早春(気候により 12 月〜3 月)です

果実と種子:
• 果実は卵形で 3 裂する蒴果であり、多数の黒い種子を含みます
• 種子は小さく角ばっており、重力や水によって散布されます
Narcissus tazetta は、自生地および帰化地において多様な環境に生育しています。

• 草原、牧草地、疎林の縁辺
• 岩場や低木地
• 河川敷や季節的に湿潤な地域
• 耕作地、庭園、攪乱された土地

受粉:
• 花はハチ、チョウ、アブなど多様な昆虫によって受粉されます
• 強い香りは、開花する花が少ない寒冷期に受粉媒介者を惹きつける役割を果たします

季節サイクル:
• 秋から初冬にかけて芽吹き、晩冬から早春に開花します
• 葉は晩春から初夏にかけて完全に枯れます
• 夏場は地下で球根として休眠し、高温乾燥する夏に適応しています
Narcissus tazetta は有毒植物に分類されます。植物のすべての部分に有毒なアルカロイドやシュウ酸カルシウム結晶が含まれています。

有毒成分:
• リコリン — 主要な有毒アルカロイドで、植物全体に含まれますが、特に球根に濃縮されています
• タゼチン、ヘマンタミン、ナルクラシンなどの他のヒガンバナ科アルカロイド
• 植物組織中に含まれるシュウ酸カルシウムの針状結晶(ラフィド)

摂取した場合の症状:
• 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
• 重症の場合:震え、痙攣、不整脈、死に至ることもあります
• 球根が最も毒性が強く、食用のタマネギやエシャロットと見間違えられることがあります

皮膚刺激:
• 球根や樹液に触れると、感受性のある人に接触性皮膚炎(「スイセンかぶれ」)を引き起こすことがあります
• 症状としては、発赤、かゆみ、水疱などがあります

• 植物の苦味により摂取は通常避けられますが、特に子供やペットにおいて誤食による中毒が発生することがあります
• 摂取が疑われる場合は、直ちに医療機関を受診してください
Narcissus tazetta は、観賞用として庭で広く栽培されるほか、室内用の促成栽培用鉢植えとしても楽しまれています。

日照:
• 日向〜半日陰
• 良好な開花のためには、1 日あたり少なくとも 4〜6 時間の直射日光が必要です

用土:
• 水はけ良く肥沃な土壌を好みます。砂質土や壌土など多様な土壌に適応します
• 弱酸性〜中性(pH 6.0〜7.0)を好みます
• 過湿には弱く、球根腐れの原因となるため避けてください

水やり:
• 生育期(秋〜春)は定期的に水やりを行います
• 晩夏になって葉が黄色く枯れてきたら、水やりを減らします
• 室内で促成栽培する場合は、用土を常に湿らせますが、過湿にはしないようにします

温度:
• 耐寒性は USDA ハードネスゾーン 5〜9 です
• 植付け後は根の発育のため、10〜15℃程度の低温期間を必要とします
• 室内での促成栽培では、発根のために 10〜13℃の低温に置き、その後に開花のために 15〜18℃の温暖な場所に移します

植付け深度と株間:
• 球根は深さ 10〜15 cm、株間 10〜15 cm で植えます
• 春咲きとするため、秋に植付けます

増やし方:
• 主に親球の周りにできる子球(球根の子球)による分け球で増やします
• 種まきでも増やせますが、開花可能な球根に育つまで 3〜5 年を要します

豆知識

房咲きスイセンは、世界中の文化的伝統において特別な位置を占めています。 • 中国の文化では「水仙(スイセン:水辺の仙人の意)」として知られ、旧正月を祝う「四君子」ならぬ「歳朝清供(さいちょうせいこう:正月に飾る花や置物)」を代表する花の一つです。鉢植えの Narcissus tazetta は、幸運と繁栄を象徴するものとして、旧正月の時期に伝統的に飾られます。 • 美少年ナルキッソスが自らの姿に恋をして花になったというギリシャ神話は、一部の学者により、一般的な黄色いスイセン(Narcissus pseudonarcissus)ではなく、Narcissus tazetta またはその近縁種に由来するのではないかと考えられています。 • Narcissus tazetta の花から採れる精油である「ナルキッサス・アブソリュート」は、香水業界において最も高価で貴重な原料の一つです。わずか 1 kg のアブソリュートを得るのに、約 1,000 kg の花が必要とされます。 • ビクトリア朝時代の「花言葉(フローリオグラフィ)」では、ナルキッソスは虚栄心、自己愛、利己主義を象徴しました。これはギリシャ神話に直接由来するものです。 • Narcissus tazetta は、自家受粉によって実りある種子を生じうる数少ないスイセン属の一種であり、この特性が多様な地域への広範な帰化に貢献しています。

詳しく見る
共有: LINE コピーしました!

関連する植物