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ババコ

ババコ

Vasconcellea × heilbornii

ババコ(Vasconcellea × heilbornii)は、パパイア科に属する自然交雑種の果樹で、大きく甘く酸味が少ない果実が高く評価されています。5 倍体の交雑種であり、Vasconcellea cundinamarcensis と Vasconcellea stipulata との交配に由来すると考えられていますが、正確な親種については植物学的な研究が続けられています。

• 冷涼な亜熱帯気候や温帯気候でも結実可能な、数少ない高所性パパイア近縁種のひとつ
• 果実の断面は五角形をしており、輪切りにすると特徴的な星型を示す
• 風味はパパイアとイチゴの中間と表現されることが多く、温和で爽やかな甘みがあり、一般的なパパイア(Carica papaya)にみられるような麝香(じゃこう)様の特徴的な香りはほとんどしない
• 多くの熱帯果樹とは異なり、標高 2,000 m を超える高地でも結実し、短時間であれば約 2°C までの低温にも耐える

ババコはエクアドルのアンデス山岳地帯を原産とし、先住民コミュニティによって何世紀にもわたり栽培されてきたと考えられています。

• Vasconcellea 属は南米の熱帯アンデス地域を中心に分布し、特にエクアドル、コロンビア、ペルーで種の多様性が最も高い
• ババコ自体は真の意味での自生状態では知られておらず、栽培化植物(栽培下で成立した植物)とみなされている
• 1970 年代にニュージーランドへ導入され、温室栽培や園芸作物として商業的に重要な存在となった
• その後、南ヨーロッパ(イタリア、スペイン)、カリフォルニア、その他温和な気候を持つ亜熱帯・温帯地域へも導入された
• パパイア科は 6 属に約 35 種が含まれ、その大半は Vasconcellea 属に属する
ババコは小型で成長が速く、草本性樹木または低木状の植物であり、通常は樹高 2〜5 m に達する。

茎と生育习性:
• 単幹または分枝がまばらで、軟らかく半木質の幹をもつ
• 茎は滑らかで緑色〜灰緑色を呈し、目立つ葉痕がある
• 真のパパイアとは異なり、茎は比較的太く、老化しても中空にならない
• 成長は非常に速く、実生または挿し木から結実適齢期に達するまで 10〜12 ヶ月を要する

葉:
• 大型で掌状に深く裂け(通常 5〜7 裂)、長い葉柄(30〜60 cm)につく
• 葉身は直径 30〜50 cm で、表面は濃緑色、裏面は淡色
• 茎頂部にらせん状に配列し、ゆるい樹冠を形成する
• Carica papaya とは異なり、ババコの葉は切れ込みが浅く、葉柄も短い傾向がある

花:
• 植物は通常雌雄異株であるが、まれに両全株性(雄花・雌花、ときに両性花が別個体または同一個体に存在)を示すこともある
• 雌花は単生または短い集散花序につき、雄花より大きく、子房上位である
• 雄花は下垂する総状花序につき、小型で多数の雄しべをもつ
• 好適な条件下では、通年開花することもある

果実:
• 大型で五角形(5 角)の液果であり、通常は長さ 15〜30 cm、重量 0.5〜2 kg 程度
• 果皮は薄く滑らかで、熟すと緑色から黄金色へ変化する
• 果肉は白色〜淡黄色で多汁、種子がないか、5 倍体であることに起因するごく少数の未熟種子のみを含む
• 無種子またはほぼ無種子であることは、商業的に最も価値のある形質のひとつ
• 染色体の不均衡(5 倍体、2n = 5x = 45)により、果実は完全に機能する種子を発達させることがない
ババコは冷涼な熱帯高地の条件に適応しており、これが大多数の熱帯果樹との相違点である。

• 原産地であるアンデスの標高約 1,500〜3,000 m は、年間を通じて温和(平均 12〜20°C)な気候を示す
• 水はけが良く肥沃で、適度な湿潤が保たれる土壌を好むが、過湿には耐えられない
• 中程度の湿度があり、強風から保護された環境で最もよく生育する(大型の葉は損傷を受けやすいため)
• 原産地では、山地林縁部や栽培園で見られる
• 送粉者は多様な昆虫であるが、栽培下ではその交雑種としての性質により、単為結果(受精を伴わない結実)によって結実することが多い
• 侵略的とはみなされておらず、有意な野生個体群をもたない栽培種である
ババコは、冷涼な亜熱帯から温帯にかけての世界中の地域で、珍果および商業果樹として栽培が増加している。

日照:
• 日向〜半日陰を好み、最適な結実のためには 1 日あたり最低 6 時間の直射日光が必要
• 極めて高温の地域では、午後の弱い日陰により葉焼けを防ぐことができる

土壌:
• 有機質に富み、水はけの良い肥沃な壌土
• 至適 pH:6.0〜6.8
• 重粘土や過湿な土壌には耐えられない

灌水:
• 特に果実の発育期間中は、一定の土壌水分が不可欠
• マルチングにより土壌水分の保持と根圏温度の調節が可能
• 過灌水は避けること。根腐れが枯死の主因となる

温度:
• 至適な生育温度帯:15〜25°C
• 短時間であれば約 2°C までの低温に耐えうるが、長期間の低温は植物にダメージを与える
• 霜には耐えられない。温帯地域では、冬季にガラス温室で栽培するか、屋内に取り込む必要がある
• 約 30°C を超えるような高温の熱帯低地ではよく生育しない

増殖法:
• 主に茎挿し木(成熟した茎の 15〜30 cm 区画)により増殖され、湿潤な用土中で容易に発根する
• 種子増殖も可能ではあるが、本種の交雑種かつ 5 倍体である性質上、実生は個体変異が大きく信頼性に欠ける
• 挿し木からは遺伝的に同一な個体が得られ、10〜12 ヶ月で結実する

主な問題点:
• 排水不良土壌における根腐れ(Phytophthora 属および Pythium 属による)
• 多湿で換気不良条件下でのうどんこ病
• アブラムシやコナジラミ。特に温室栽培で発生しやすい
• 大型で軟らかな葉に対する風害

豆知識

ババコは、人為的な育種プログラムではなく自然交雑によって生じた、数少ない無種子果実のひとつです。 • 5 倍体の染色体数(2n = 45)をもつため、細胞内の染色体セット数が奇数となり、正常な減数分裂と種子形成が阻害される。その結果、果実は受精を伴わない単為結果として発育する • エクアドルでは、ババコの果実は伝統的に搾りたてジュース(「 jugo de babaco」)に加工され、砂糖で甘みを付け、バニラやシナモンで風味を付けた人気の朝食ドリンクとなっている • 果実にはパパイア科由来のパパイン様タンパク質分解酵素が含まれており、肉を柔らかくする調理法に利用される。これは近縁種のパパイアと共通する料理上の知恵である • ニュージーランドは南米以外でババコの商業化に成功した初期の国のひとつであり、1980〜1990 年代には温室生産が拡大。その繊細で炭酸を含むような爽やかな甘みから「シャンパンフルーツ」として販売された • ババコはパパイア科全体で最も耐寒性のある食用果実という特筆すべき地位を占めており、他のパパイア近縁種が生育できない気候下でも果実を生産することができる

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