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トウヒ

トウヒ

Picea glauca

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トウヒ(Picea glauca)は、マツ科に属する中高木の高木性常緑針葉樹であり、北米のタイガ(北方林)を構成する最も重要な樹種のひとつです。ラブラドールの大西洋岸からアラスカのベーリング海沿岸まで、大陸を東西にまたいで分布し、極度の厳寒、多様な土壌条件、広範な生育環境に耐えるきわめて適応力の高い種です。

• 北米で最も広く分布する針葉樹のひとつであり、経度にして 60 度以上にわたって分布する
• カナダ・マニトバ州の州木
• 重要な用樹種であり、北米のタイガを構成する主要な樹種である
• 種小名の「glauca」は「白っぽい」または「粉白色」を意味し、針葉のやや青緑がかった色に由来する
• 針葉を揉むと猫の尿やスカンクに似た特徴的な強い臭いを放ち、地域によっては「スカンクスプルース」とも呼ばれる

分類

Plantae
Tracheophyta
Pinopsida
Pinales
Pinaceae
Picea
Species Picea glauca
トウヒ(Picea glauca)は、北米のタイガおよび北部温帯林に自生する。

• ニューファンドランド・ラブラドール州から西へカナダ全土を横断し、アラスカに至る
• 南へはアメリカ合衆国北部(メイン州、ニューハンプシャー州、バーモント州、ミシガン州、ウィスコンシン州、ミネソタ州、ノースダコタ州、モンタナ州、ワイオミング州、サウスダコタ州のブラックヒルズ)にかけて分布が及ぶ
• 標高では海面からロッキー山脈で約 1,500 メートルまでに見られる
• ブラックヒルズに分布する亜種(P. glauca var. densata)は独立した変種として認められている
• 1807 年にドイツの植物学者フリードリヒ・ファールによって初めて記載された
• 本種は 100 年以上にわたり北米のパルプ・製紙産業の要となってきた
• トウヒは先住民によって建築、薬用、食用など多岐にわたって利用されてきた
トウヒ(Picea glauca)は円錐形の樹冠をもつ中高木の高木性常緑針葉樹である。

大きさ:
• 樹高:通常 15〜30 メートル、まれに 40 メートルに達する
• 幹径:0.3〜0.8 メートル
• 樹冠:細い円錐形で、短くやや上向きに伸びる枝をもつ

樹皮:
• 薄く、灰白色から褐灰色で鱗状をなし、小さく薄い板状にはがれる

葉(針葉):
• 針葉は淡い青緑色から濃緑色、長さ 1〜2 センチメートル、断面は四角形で硬いが、アカエゾマツほど鋭く尖っていない
• 若葉にはやや粉白色(白っぽい)のブルームを帯びる
• 針葉は放射状に付き、脱落後も残るくぎ状の葉枕(ようちん)に付着する

球果(マツカサ):
• 円筒形で長さ 3〜6 センチメートル、淡褐色で下向きに垂れる
• 鱗片は薄く柔軟で、縁は滑らかで欠刻を欠く
• 秋に丸ごと落下し、小さな翼のある種子を放出する
• トウヒ属の中では最も小さい球果のひとつである
トウヒは北米のタイガを構成する基盤種である。

生育地:
• タイガ(北方林)を代表するトウヒであり、北米北部に大規模な純林および混交林を形成する
• 永久凍土の縁辺部から湿地の縁、乾燥した岩稜に至るまで、驚くほど多様な条件に耐える
• しばしばクロトウヒ、バルサムモミ、ヤマナラシ、カンバ類などと混交林をつくる
• 氾濫原や攪乱を受けた場所におけるパイオニア種であり、しばしば山火事後に侵入・定着する

生態系における役割:
• タイガのキーストーン種であり、ヘラジカ、ユキウサギ、多数の鳥類などに食物と隠れ場を提供する
• 種子はイカリチョウ、ベニヒワ、その他のアトリ類にとって重要な食物源となる
• トウヒハマキ(Choristoneura fumiferana)は最も重要な自然攪乱要因のひとつであり、周期的に広範囲で食害(落葉)を引き起こす
• 老齢のトウヒ林は、コケ類や地衣類の多様性がきわめて高い
• 深い根系は土壌の発達と、タイガ生態系における炭素貯留に寄与する
トウヒは寒冷地向けに最も適応力の高い針葉樹のひとつである。

• 耐寒区分:USDA ハードネスゾーン 2〜6。地球上で最も耐寒性の高い樹木の部類に入る
• 摂氏マイナス 55 度までの極寒や永久凍土の条件にも耐える
• 粘土、壌土、砂、岩礫質など多様な土壌に適応する
• 湿潤で水はけが良く、やや酸性の土壌を好む
• 日向から半日陰まで生育可能
• 成長速度は並みで、年間 30〜60 センチメートル程度
• 寒冷地における防風林、防雪林、再造林に最適
• ややコンパクトな根系のため、移植が比較的容易
• 変種のデンサタ(ブラックヒルズ産)は、樹形が密でコンパクトなため、園芸樹としても人気が高い
トウヒはカナダおよびアラスカにおいて最も商業的に重要な樹種のひとつである。

木材・パルプ:
• 北米の製紙・新聞用紙産業におけるパルプ材の主要な供給源のひとつ
• 建築材、建具材、プレハブ建築などに利用される
• 材は軽質で木目が通り、響きが良く、楽器の響板(シタールやギターなど)にも用いられる

クリスマスツリー:
• 樹形がコンパクトで針葉の保持が良いため、カナダや米国北部でクリスマスツリーとして人気がある

伝統的利用:
• 先住民はトウヒを多目的に利用した。樹皮は籠やカヌーに、根は紐結びや縫い付けに、ヤニは防水剤や薬に用いられた
• トウヒの新芽(スプルースチップ)はビタミン C が豊富で、壊血病の予防に用いられた
• スプルースビールやスプルースチップティーは伝統的な飲料であった

再造林:
• 北米北部全域で再造林・植林に広く利用されている
• プレーリー諸州における防風林造成の重要な構成種である

豆知識

トウヒは北米のトウヒ属の中で最も北限に達し、北極圏内で生育する樹木である。地球上で最も過酷な環境の一部で生育しながらも、極北では個体によっては 1,000 年以上生きるものがある。ただし、そのような場所では樹高が 2〜3 メートルにしか達しないこともあり、強烈な北極の風によって形成された「クルムホルツ(矮性成長型)」と呼ばれる生育形を示すことがある。

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