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ジョンソングラス

ジョンソングラス

Sorghum halepense

ジョンソングラス(Sorghum halepense)は、イネ科に属する多年生草本であり、世界的に最も悪名高い農業雑草の一つとして広く認識されています。雑草としての評判とは裏腹に、栽培種であるソルガム(Sorghum bicolor)の近縁種であり、驚異的な耐乾燥性や急速な成長性など、多くの生理的特性を共有しています。

• 1753 年にリンネによって Holcus halepensis として初記載され、後にソルガム属へ再分類された
• 国際的な除草剤抵抗性雑草調査により「世界の最悪の雑草」の一つにリストアップされている
• 多量の種子生産と侵略的な地下茎ネットワークの両方を通じて、広大なコロニーを形成する能力を持つ
• 世界的に経済的損害が最も大きい雑草種 10 選の一つと考えられている

ジョンソングラスは地中海地域および西アジアが原産ですが、その後、南極大陸を除くすべての大陸で帰化しています。

• 原生地は南ヨーロッパ、北アフリカ、中東にまたがる
• 19 世紀初頭に種子への混入物または飼料作物としての見込みからアメリカ大陸へ導入された
• 米国では 1830 年頃にサウスカロライナ州で初確認され、1840 年代までには南部全州へ拡散した
• 「ジョンソングラス」という一般名は、1840 年頃にアラバマ州で飼料作物としてこれを栽培したウィリアム・ジョンソン大佐に由来すると信じられている
• 現在では、オーストラリア、南アメリカ、南部アフリカ、南アジアを含む、世界中の熱帯、亜熱帯、温暖な温帯地域に定着している
ジョンソングラスは背が高く頑健な多年生草本で、密生した広がりのあるコロニーを形成します。

茎と葉:
• 茎(稈)は直立し、太く、通常 0.5〜2.5 メートル、時には 3 メートルに達する
• 葉身は平らで線状、長さ 20〜50 cm、幅 1〜2.5 cm で、目立つ白い中肋(ちゅうろく)を持つ
• 葉舌は膜質で、縁に毛が生えている(長さ約 2〜4 mm)
• 葉は無毛(滑らか)で、縁はざらついている

地下茎:
• 広範囲に這う多肉質の地下茎が特徴的である
• 地下茎は土壌中に 1 メートル以上深くまで侵入し、成長期には横方向に数メートルも広がることがある
• 2〜3 cm の小さな地下茎の断片からも新たな個体が再生するため、物理的防除は極めて困難である

花序:
• 開き、広がる円錐花序で、長さ 15〜50 cm、枝は斜上から広がる
• 小穂は対になってつき(片方は無柄で稔性、もう片方は柄があり不稔または雄性)、
• 稔性の小穂は披針形で長さ約 4.5〜5.5 mm、ねじれて曲がった長さ 10〜15 mm の芒(のぎ)を持つ
• 成熟時の色は紫がかった色からわら色まで変化する

種子:
• 小型で楕円形の果実(約 3 mm)
• 1 株あたり年間 28,000〜80,000 個以上の種子を生産する
• 種子は土壌中で最大 7 年間生存可能である
ジョンソングラスは攪乱された環境で繁栄し、特に農業環境において問題となります。

生育地:
• 道路沿い、畑の縁、溝、氾濫原、攪乱された草地
• 肥沃で水はけの良い土壌を好むが、重粘土から砂壌土まで多様な土壌に適応する
• 日照を好むが、ある程度の耐陰性もある
• 定期的な冠水と長期間の干ばつの両方に耐える

気候:
• 最適生育温度は 25〜35℃
• 霜に弱く、地上部は厳寒で枯死するが、地下茎は土中で生存し春に再生する
• 年間降水量で約 400 mm が必要だが、600〜1,000 mm で最もよく生育する

繁殖と拡散:
• 有性的(種子による)および栄養的(地下茎による)の両方で繁殖する
• 種子は風、水、汚染された農機具、家畜、汚染された穀物や干し草によって分散される
• 地下茎の拡大により、単一のクローンが数回の成長期のうちに数百平方メートルを覆うことがある
• 栽培ソルガム(Sorghum bicolor)と交雑することが知られており、除草剤抵抗性や雑草的な形質が作物集団へ移行する可能性がある

生態的相互作用:
• ソルガムミバエ(Stenodiplosis sorghicola)、トウモロコシヒゲナガヨトウ(Helicoverpa zea)、各種穀類ウイルスなど、いくつかの農業害虫や病原体の宿主となる
• トウモロコシのゴス病の原因菌である Clavibacter michiganensis subsp. nebraskensis を保持することがある
• 一部の鳥類や小型哺乳類に隠れ家や餌を提供する
ジョンソングラスは、特に家畜に対して重大な毒性リスクをもたらします。

シアン化水素(青酸):
• シアン配糖体(主にドゥリン)を含み、植物組織が損傷するとシアン化水素(HCN)を放出する
• 若芽、乾燥ストレスを受けた株、霜害を受けた組織で HCN 濃度が最も高くなる
• 反芻動物では急速に中毒症状が現れ、放牧から数時間で致死量に達することがある
• 若芽中の HCN 濃度は 200 ppm を超えることがあり、200 ppm を超える濃度は牛にとって危険とされる

硝酸塩の蓄積:
• 特定の条件下(多量の窒素施肥、干ばつ、曇天など)では、毒性レベルの硝酸塩を蓄積することがある
• 家畜における硝酸塩中毒はメトヘモグロビン血症を引き起こし、酸欠状態を経て死に至ることがある

その他の毒性:
• 多量に摂取すると、馬において運動失調や尿失禁などの神経症状を引き起こすことがあり、これは慢性的なシアン曝露によるものと考えられている
• 人間が本植物を扱う際に、アレルギー性接触皮膚炎が報告されている
ジョンソングラスは有害雑草としての地位のため、ほとんどの地域で意図的に作物として栽培されることはありません。ただし、過去には一部の地域で飼料草や防食植物として利用されていました。

生育条件:
• 日照: 日照を好むが、半日陰にも耐える
• 土壌: 多様な土壌に適応するが、pH 5.5〜7.5 の肥沃で湿潤、水はけの良い壌土で最もよく生育する
• 温度: 最適生育温度は 25〜35℃。厳寒で枯死するが地下茎から再生する
• 水分: 定着後は耐乾燥性を示すが、十分な水分があれば旺盛に生育する

防除と管理:
• 広範な地下茎ネットワークのため物理的防除は困難であり、耕起により地下茎の断片が拡散する恐れがある
• 結実前の繰り返し刈り込みにより、時間とともに勢いを弱めることができる
• 除草剤としてはグリホサート、フルアジホップ、クィザロホップなどが選択肢となるが、複数の国で除草剤抵抗性バイオタイプの存在が確認されている
• 耕起、除草剤、競合力のある輪作を組み合わせた総合的管理が最も効果的である
• 生物的防除剤も調査されているが、広く実用化されているものはない
雑草としての性質にもかかわらず、ジョンソングラスには歴史的、あるいは限定的な現代的用途がいくつかあります。

飼料:
• 過去には米国南部やオーストラリアの一部で飼料や干し草作物として栽培された
• 適切な生育段階で収穫され、HCN 濃度が高くなければ栄養価が高い
• 適切に管理されていれば、牛や馬にとって嗜好性がある

侵食防止:
• 広範な地下茎ネットワークにより、法面や攪乱地での土壌安定化に効果的である
• 一部の地域では、劣化した土地の植生回復に利用されている

バイオエネルギー:
• 高いバイオマス生産量から、潜在的なバイオエネルギー作物としての研究関心を集めている
• 好条件下では 1 ヘクタールあたり 15〜20 トンの乾燥重量が生産された記録がある

ファイトレメディエーション(植物浄化):
• 汚染土壌から重金属を蓄積する能力について研究されている

交雑利用:
• 耐乾燥性、害虫抵抗性、多年生性などの遺伝子源として、ソルガムの育種プログラムで利用されている
• 多年生ソルガムの研究では、S. halepense からの地下茎形成能力を栽培種の S. bicolor へ移転し、多年生穀物ソルガム品種を開発することが目指されている

豆知識

ジョンソングラスは農業史上において不名誉な地位を占めています。国際的な除草剤抵抗性雑草調査により「世界の最悪の雑草 10 選」の一つに選ばれ、グリホサート、ALS 阻害剤、ACCase 阻害剤など、複数の除草剤系に対して抵抗性を獲得しています。 本植物の地下茎システムは並外れて強靭です: • 地下茎は 1 メートルを超える深さまで埋もれても生存し、数年間休眠状態を維持できる • わずか 2 cm の地下茎の断片 1 つから、完全な新しい個体が再生する • 地下の地下茎バイオマスは、地上部のバイオマスの 3〜5 倍に達することがある また、ジョンソングラスは栽培ソルガムとの収斂進化の驚くべき例でもあります: • 穀物ソルガム(Sorghum bicolor)に最も近い野生近縁種である • 両種は自然に交雑し、稔性のある子孫を生み出すことができる • この交雑は、ソルガム作物へ多年生形質を導入しようとする育種家にとっては恩恵である一方、「スーパー雑草」が作物の遺伝子を獲得することを懸念する雑草科学者にとっては懸念材料となっている 米国では 19 州で有害雑草に指定されており、州ごとの検疫法に基づき、種子の州間取引が禁止または制限されています。これは、本植物の並外れた侵略性と、一度定着すると根絶がいかに困難であるかを如実に物語っています。

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