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フクジュシダ

フクジュシダ

Pleopeltis polypodioides

フクジュシダ(Pleopeltis polypodioides)は、イノモトソウ科に属する驚くべきシダの一種で、極度の乾燥に耐え、水分を与えられると見事に「蘇る」並外れた能力で有名です。

米国南東部から新熱帯区にかけて、木の枝や岩、古い壁などにへばりつくようにして生育しており、この小型の着生シダは細胞内の水分の最大 97% を失って茶色く脆い球状に丸まりますが、雨が降ると数時間のうちに鮮やかな緑色の葉を広げます。

• 科学が知る限り、最も耐乾燥性の高い維管束植物の一つ
• 乾燥した状態で数年間生存し、吸水後に回復可能
• 死んだような殻から lush な緑の植物へと劇的に変容する様子が、印象的な一般名の由来となっている
• 「ハイイロイノモトソウ」または「ウロコイノモトソウ」としても知られている

分類

Plantae
Polypodiophyta
Polypodiopsida
Polypodiales
Polypodiaceae
Pleopeltis
Species Pleopeltis polypodioides
Pleopeltis polypodioides はアメリカ大陸原産で、分布域は米国南東部から中央アメリカ、カリブ海地域を経て南アメリカにまで広がっています。

• 米国では、フロリダ州やテキサス州から北へメリーランド州、オハイオ州南部、オクラホマ州にかけて分布
• メキシコ全域、中央アメリカ、および南アメリカの一部に自生
• バミューダ諸島および西インド諸島にも見られる

Pleopeltis 属は、イノモトソウ科(Polypodiaceae)に属しており、これは最大かつ最も多様なシダ科の一つです。
• イノモトソウ科には約 60 属 1,600 種以上が含まれる
• 主に熱帯に分布し、着生種が多い
• 最近数十年間の分子系統学的研究により、この属の分類は見直され、かつて Polypodium 属とされていた多くの種が Pleopeltis 属に移された

イノモトソウ科のシダの系統進化は白亜期にさかのぼり、被子植物が優占する森林の出現とともに主要な多様化を遂げました。
Pleopeltis polypodioides は小型から中型の着生性または岩生性のシダで、葉の長さは通常 5〜25 cm です。

根茎と葉柄:
• 根茎は長く這い、細く(直径約 1〜2 mm)、分枝し、披針形から卵形の鱗片で密に覆われる
• 鱗片は褐色〜赤褐色で、網状構造(細胞が格子状に配列)をもち、脱落しない
• 葉柄(葉の茎)は短く、通常 1〜5 cm で、長さの大部分にわたって翼があるか狭い翼をもつ
• 葉柄に関節(根茎との付着部に節があること)がなく、これが近縁のいくつかの属との識別点となる

葉身:
• 単葉で深く羽状深裂(小葉に完全には分かれていない裂け目をもつ)し、外形は長楕円形〜披針形
• 通常 5〜25 cm、幅 1.5〜5 cm
• 質感は厚くやや革質(革質)で、周期的な干ばつへの適応である
• 表面は吸水時には濃緑色で無毛。裏面は盾状(傘型)の鱗片で密に覆われる
• 乾燥時には、葉は内側に丸まり、鱗片のある裏面が外側を向いて保護する
• 吸水すると、葉は 2〜4 時間以内に広がり、完全に緑色の張りを回復する

胞子嚢群:
• 胞子嚢群は円形で、各裂片の中脈の両側に 1 列に並ぶ
• 包膜(保護膜)を欠く
• 胞子嚢は分枝した毛状の傍糸と混在する
• 胞子は単溝型(1 本の直線状の痕をもつ)で、黄褐色を呈する
フクジュシダは主に着生植物であり、特に南部ライブオーク(Quercus virginiana)やラクウショウ(Taxodium distichum)の枝に生育することで有名ですが、岩や古い壁、フェンスの柱などにも生育します。

• 湿潤な亜熱帯から温暖湿潤性の森林で最も一般的に見られる
• 湿地林、海岸のハンモック、低地の広葉樹林で頻繁に観察される
• 樹皮や岩肌など、比較的乾燥して曝露された微小環境にも耐えることができる
• しばしばコケ類、地衣類、その他の着生シダと共生して生育する

耐乾燥性:
• このシダの最も注目すべき生態的適応は、極度の乾燥耐性である
• 細胞内の水分の最大 97% を失い、アヒドロバイオシス(「水のない生命」)状態に入ることができる
• 乾燥中に細胞膜やタンパク質を安定化させる保護糖類(トレハロースやショ糖)や LEA タンパク質(発育後期に豊富に発現するタンパク質)を蓄積する
• 吸水時には酸化損傷を修復するため、抗酸化系が活性化される
• この仕組みは、水分喪失を防ぐことで耐乾性を示す多くの植物とは根本的に異なり、水分喪失そのものを生き延びる点に特徴がある

繁殖:
• 風によって散布される胞子で繁殖し、発芽には湿潤な条件が必要
• また、這う根茎による栄養繁殖も行う
• 胞子の発芽により、有性生殖に水分を必要とする心臓形の小さな前葉体(プロタルス)が形成される
フクジュシダは、その劇的な蘇る様子から、観賞用やテラリウム用として栽培されることがあります。耐乾性があるため、多くのシダに比べて管理は比較的容易です。

光:
• 明るい半日陰を好む
• 多くのシダよりも直射日光に耐えられるが、長時間の強い日差しは葉焼けを引き起こす可能性がある

湿度:
• 多くのシダとは異なり、常に高い湿度を必要としない
• 室内の乾燥した空気にも耐えるが、その分、丸まった休眠状態にある時間が長くなる
• 時々霧吹きをかけたり水に浸すことで、劇的な葉を広げる様子を観察できる

用土/着生方法:
• 自然界では、土を使わず樹皮や岩の上に生育する
• 栽培では、樹皮、コルク、またはヘゴ板などに着生させるのが最適
• 鉢植えにする場合は、水はけの非常に良い着生用用土(ヤシガラ土、パーライト、少量の水ゴケ)を使用する

水やり:
• 水やりの間は完全に乾かすことが、蘇る様子を引き出すための鍵である
• シダが完全に丸まって乾燥しているとき、株全体または鉢ごと 15〜30 分間水に浸す
• 数時間で葉を広げ、緑色に戻る
• 常に湿ったままにすると、腐敗を招く可能性があるため避ける

温度:
• 米国農務省(USDA)の耐寒区分 6〜10 区で越冬可能
• 一時的な寒さには耐えるが、長期的な霜には耐えられない
• 至適生育温度:15〜30℃

増やし方:
• 這う根茎の株分け
• 胞子まき(時間がかかり困難)

よくある問題:
• 水のやりすぎや通気性不良による腐敗
• 根茎に付くカイガラムシやコナカイガラムシ
• 吸水後に葉が緑色に戻らない場合、回復不能なほど乾燥しきっているか、根・根茎が腐っている可能性がある

豆知識

フクジュシダの「死から蘇る」能力は何世紀にもわたり人々を魅了し、耐乾燥性に関する本格的な科学研究の対象となってきました。 • 2004 年、カリフォルニア大学バークレー校の研究者たちは、植物生理学の専門誌に画期的な論文を発表し、このシダの耐乾燥性を支える分子メカニズムを解明。重要な保護タンパク質や糖類を特定した • このシダの蘇る仕組みは、冷蔵なしでワクチンや生物学的材料を保存する研究(「アヒドロバイオシス・エンジニアリング」と呼ばれる概念)にも影響を与えている 1971 年のアポロ 14 号の宇宙ミッションにおいて、フクジュシダは歴史に名を残すユニークな存在となりました。 • NASA は極限環境下での生存を理解するため、このシダを含む耐乾燥性生物を研究した • 極度の脱水という真空に近い状態に耐えるその能力から、宇宙生物学の研究モデル生物となった 葉が劇的に丸まったり広がったりする現象は、受動的な物理的プロセスによるものです。 • 乾燥するにつれ、葉の表裏の組織が不均一に収縮することで内側に丸まり、鱗片のある裏面が外側を向く • この丸まる行動は、光合成を行う表面を保護し、さらなる水分喪失を抑制する役割を果たす • 水に触れると、葉は表面から急速に水分を吸収し、毛細管現象と浸透によって細胞が再水和する。代謝的な「判断」は不要である • 葉が完全に広がる過程はリアルタイムで観察可能で、通常 2〜4 時間で完了する 米国南東部では、古木となったライブオークにスパニッシュモスと共に生育するフクジュシダが、南部の風景を象徴する最も有名な光景の一つを生み出しています。これは何世代にもわたり、芸術家、詩人、自然主義者たちをインスピレーションで満たしてきた、着生生態系の生きた絵画なのです。

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