ディアスキア・バルベラエ(一般名:ツインシュパー)は、南アフリカ原産の愛らしい多年草です。ゴマノハグサ科に属し、繊細で距(きょ)を持つ花と長い開花期が評価され、世界中の庭園で珍重されています。
• 属名の「ディアスキア」は、ギリシャ語の「dis(2 つ)」と「askos(袋または嚢)」に由来し、花の裏側にある 2 つの特徴的な蜜を含む距を指しています
• この対になった距により、「ツインシュパー(双子の距)」と一般的に呼ばれています
• 小粒で宝石のような色合いの花を無数に咲かせるため、コテージガーデン、ハンギングバスケット、鉢植えで人気があります
• 花色は通常、ピンク、サーモンピンク、ローズ、コーラル色で、まれに白やアプリコット色になることもあります
• ディアスキア属には約 60〜70 種が含まれ、その大半は南部アフリカに自生しています
• 19 世紀にイギリスの植物学者ジョゼフ・ダルトン・フッカーによって初めて記載され、後にジョージ・ベンサムによって正式に命名されました
• 種小名の「バルベラエ」は、初期の南アフリカ植物探検に関わった植物収集家を称えて名付けられたものです
• 19 世紀にヨーロッパの園芸に導入されて以来、温帯地域のガーデニングに欠かせない存在となりました
茎と葉:
• 茎は細く分枝し、やや針金状で、疎らなマット状またはマウンド状に生育します
• 葉は対生し、卵形〜披針形で、長さは約 1.5〜3 cm、縁には鋸歯があります
• 葉色は鮮やかな緑色で草質であり、温暖な気候では半常緑性を示します
花:
• 個々の花は小さく(直径約 1.5〜2 cm)、左右相称で、頂生の総状花序に咲きます
• 各花は 5 つの裂片を持ち、2 枚の花弁(唇)を形成します。上唇は小さく直立し、下唇は幅広く開きます
• 花冠の後ろからは、本種の特徴である 2 本の後方に突き出た蜜腺の距(長さ約 5〜10 mm)が伸びています
• 花色は淡いピンクから濃いローズ、サーモンピンク、コーラル色まで多様です
• 晩春から秋にかけて(北半球では概ね 5 月〜10 月)盛んに開花します
根系:
• 繊維質の根系を持ちますが、品種によっては越冬のためにやや塊根状の根を発達させるものもあります
• 南アフリカのドラケンスバーグ地域が原産地で、夏は温暖湿潤、冬は冷涼で比較的乾燥した気候です
• 標高約 1,500〜2,500 メートルの高地で生育します
• 夏季に降雨があり、冬季に乾燥した休眠期間がある地域に適応しています
受粉:
• 花は主に、ハチミツバチ科のレディビバ属(Rediviva)に属する特殊な油採集バチによって受粉されます
• これらのハチは細長い前脚を使って双子の距から花の油を収集します。これは植物と送粉者の間の共進化の驚くべき例です
• 収集された油は、ハチが幼虫の餌として利用します
繁殖:
• 多数の微小な種子を含む小さな蒴果を実らせます
• 種子は風や水によって散布され、好適な条件下では自家播種も容易に行われます
日照:
• 日向〜半日陰を好みます
• 暑い地域では、午後の日陰により開花期間が延び、葉焼けを防ぐことができます
用土:
• 水はけが良く、中程度の肥沃さのある土壌を必要とします
• 壌土、砂質土など多様な土壌に適応し、弱酸性〜中性(pH 5.5〜7.0)を好みます
• 過湿な状態には耐えられません
水やり:
• 生育期は定期的に水やりを行い、用土を均一に湿らせますが、過湿にはしないでください
• 冬季の休眠期は水やりを減らします
• 一度根付けば耐乾性を示しますが、常に適度な水分がある状態で最も良く生育します
温度:
• 米国農務省(USDA)の耐寒区分 8〜11 区で越冬可能。それより寒い地域では一年草として扱います
• 軽い霜には耐えますが、長期間の凍結には耐えられない場合があります
• 至適生育温度は 15〜25°C です
増やし方:
• 春から初夏に採取した軟木挿し木で容易に増やすことができます
• また、最終霜の 8〜10 週間前に室内で播種して育苗することも可能です
• 一部の品種は不稔性の交雑種であるため、栄養繁殖(挿し木など)による必要があります
手入れ:
• 咲き終わった花穂を摘み取る(花がら摘み)ことで、連続開花が促されます
• 一番花の後に軽く剪定を行うと、草姿がまとまり、二番花が咲きやすくなります
• 生育期は月に 1 回、バランスの取れた液肥を与えます
豆知識
ディアスキアの花にある双子の距は単なる装飾ではなく、植物と送粉者の世界における最も興味深い共進化の事例の一つを形作った、特殊な油分泌器官です。 • 油採集バチであるレディビバ属(Rediviva)は、双子の距の奥深くにある油に到達するために、種によっては体長よりも長い異常に長い前脚を進化させてきました • この相利共生関係は非常に特殊化しており、特定のディアスキア種は、対応するたった一種類のレディビバ属のハチによってのみ受粉されるものもあります • ディアスキア・バルベラエの距は、属内でも花のサイズに対して特に長く、特定の送粉者の脚の長さに適合しています • この驚くべき適応は、1970 年代から 1980 年代にかけて南アフリカの植物学者ステファン・フォーゲルによって詳細に研究され、彼がこれらのハチにおける油採集行動を初めて記述しました また、ディアスキア・バルベラエは現代の園芸育種プログラムにおいて最も重要な親種の 1 つともなっています: • 'ブラックソーン・アプリコット'、'ルビー・フィールド'、'ライラック・ベル' などの品種は、英国王立園芸協会(RHS)から受賞歴があります • 本種のコンパクトな草姿、長い開花期、豊富な花色のバリエーションは、世界中の温帯地域における夏花壇の要となっています
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